経済産業省資源エネルギー庁は15日、企業などと連携して上越沖で行う石油、天然ガスの試掘調査を開始したと発表した。上越沖約50キロ、佐渡の南西沖約30キロの海底約1100メートルにある「上越海丘(かいきゅう)」で約3カ月かけて調査を進める。早ければ6月下旬から数日間、石油やガスを取り出す作業を行う。政府が石油や天然ガスの試掘を手掛けるのは、2003~04年度に佐渡南西沖と愛知県沖で実施して以来。埋蔵量が国内最大級の可能性もある。(2013.04.15)
試掘はJX日鉱日石開発(JX開発)、事業管理は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が請け負う。
調査には愛知沖のメタンハイドレートからのガス産出成功などで知られる探査船「ちきゅう」を使用。同庁やJX開発によると、当初は15日以降に調査開始の見通しだったが、準備が順調に進んだため、14日に水深約1100メートルの海底の掘削を開始。今後、海底から約2700メートル下まで掘削し、資源の存在状況を調べる。
15日は現場海域に高さ約120メートルの掘削やぐらが特徴の「ちきゅう」が停泊し、海底にパイプを下ろして地下を掘削した。
JX開発が柏崎市に設置した現地事務所「柏崎鉱業所」によると、これまでに同社の社員5人程度がヘリコプターで「ちきゅう」へ移動し、作業を始めているという。船上スタッフは今後も増員する見込み。
同庁は今後の予定について「13年度内に得られたデータを詳細に解析、評価し、石油、天然ガスの存在状況の確認を行う。その後にJX開発が商業生産の可能性を検討する」(石油・天然ガス課)と説明している。
経産省は08年度から探査船「資源」で上越沖の海底を調べ、100平方キロメートル以上にわたって石油やガスの埋蔵が見込まれることを確認した。